発達理論(ルソー、ピアジェ、フロイト、エリクソン、モンテッソーリ)

脳育に関する基礎知識

保育士も小学校の先生たちもこれらの発達段階を勉強されて先生になります。どれが正しいとか誤りとかはないと思います。一つの理論だけでなく複数の考えを俯瞰的に眺めて考えてみると、そして生理学的に脳の発達(6歳までに80%)という事を重ね合わせて考えてみると、「子どもの成長に向き合う様々な場面」でヒントになることが見えてきます。

保育士、小学校教諭が勉強するためではなく、子どもを持つ普通のお母さんやお父さんが理解していただけるよう、できるだけ簡潔にまとめてみました。

研究者たちが主張する発達段階(生年順です)

ルソー(ジャン・ジャック・ルソー)

フランスの哲学者、1712年6月28日生まれ。
ルソーは教育の部分においても大きな功績を残しています。三部作(「人間不平等起源論・社会契約論とともに)の一つ「エミール」は、「子どもを小さな大人」としてみるそれまでの通念を否定し、子どもの自主性や成長に伴う能力といったものを発達に合わせて学習させ教育すべきとしました。子どもは大人と異なる独特の存在としたのです。

三つの教育として「自然の教育」「人間の教育」「事物の教育」という形で論じています。幼児期からの手足を動かせるようになったり言葉を話せるようになったりという自然な発達に合わせて、「人間の教育」として大人による一般的な教育を行い、様々な事象や物質に接することで子どもが自ら経験として学ぶことを「事物の教育」としました。

身体の感覚や運動能力の発達段階にあわせて教育を行うという、今でいえば普通の概念を初めて主張したのはルソーだったのかもしれません。

フロイト(ジークムント・フロイト)

オーストリアの精神科医、精神分析学の創始者と言われる、1856年5月6日生まれ。
フロイトには神経症、自由連想法、無意識などユニークな研究がありますが、教育の分野においては、1905年の性理論三篇において、リビドー(性的エネルギー)が発散される身体器官が成長する時期に発達の段階を分けた心理性的発達理論(幼児性欲理論)があります。

段階年齢特 徴
口唇期誕生~1歳半授乳期において口、唇というリビドーが発散される器官が発達し、これによって甘えと受容といった依存的、受動的な性格が形成されます。
固着(心理的にその段階に留まること)すると、喫煙、爪を噛むなど唇をまぎらわす癖がでたり、依存的な性格や攻撃性を持った性格になったりします。
肛門期1歳
~3歳
おむつが取れ、肛門が制御できるようになり欲求が排泄によって満たされます。胃腸や膀胱のコントロールなどで自立した感覚を得ます。親からの躾としてトイレットトレーニングを必要としますが、厳しすぎたり固着したりすると、几帳面、厳格、けちといった性格が表れたり、逆に甘かったりすると浪費的、破壊的といった性格が表れる場合があります。
男根期
(エディプス期)
4歳
~6歳
性や性器に対する意識が発達する時期です。男女の違いに興味を覚え男らしさ、女らしさに影響を及ぼします。男の子の場合は母親に性愛的愛着が生じ父親へのライバル心が生れます(エディプスコンプレックス)。女の子の場合は逆に父親への愛着が増し、母親に対する敵意が生じます(エレクトラコンプレックス)。固着がすると同性の親への敵対心が残ったり男性性や女性性の獲得が不十分になったりします。
潜伏期6歳~思春期自我が確立する時期で、リビドー(性的エネルギー)が弱まる時期です。社会的規範の習得や、知識の獲得、友人とのコミュニケーションなどで社会性が身につく時期です。
性器期
(性愛期)
思春期~青年期性器性欲、性的衝動が強くなり、異性に対する性愛が発生します。全人格を含めて異性への性愛、他人の幸福といったものに関心が生じる時期です。

固着…その発達段階での刺激・満足が不十分で、その心理的に段階に留まること
退行…その段階での刺激が過剰だと不適応をおこし、心理的に前段階に戻ってしまうこと

ピアジェ(ジャン・ピアジェ)

スイスの心理学者、1896年8月9日生まれ。
児童心理学の教授で若い時には「ジャン・ジャック・ルソー研究所」の心理学研究主任をしていました。昭和45年には日本にも国際幼年教育者会議に首席講師として来日しています。

ピアジェの認知発達理論は、フロイトやエリクソンとともに心理学や教育学において発達という概念の基礎になっています。

ピアジェの認知発達理論を簡単に…

年齢特 徴
感覚
運動期
0
~2
感覚と運動が直接連動している時期で表象機能を獲得していく時期です。表象機能とは心に浮かべられる外的対象の像のことをいいます。またこの時期にシェマ(スキーマの方が分かりやすいかもしれません)という適応行動パターン、概念などを獲得します。

感覚運動期は更に、「手と運動と発生の摸倣期」「顔の摸倣期」「延滞摸倣期」などの発展水準で分類されています。
前操作期2
~7
自分の知覚する情報ですべてを判断するという自己中心性中心化)の特徴を持ち、現実にないものを他に想定するという象徴機能から行動が現れる時期です。
具体的
操作期
7
~12
論理的な思考や具体的な操作が出来るようになります。数や量といった概念ができ、形や状態を変えても質量は変わらないと言った保存概念ができ、ある出来事に条件を加えると逆の方向に変化し元に戻ると言った可逆性も理解するようになります。また前操作期の中心化から自分以外の視点を理解するようになります(脱中心化
形式的
操作期
12歳以降あるテーマに対し、こうなったらどうだろうという仮説演繹的に推論することが出来るようになり、抽象的なことでの思考が出来るようになります。

シェマ(概念)の認知構造、同化と調節については「ほいのーと保育漫画」さんが漫画形式で分かりやすくてお勧めです。
ピアジェのシェマを具体例をつけて簡単に説明(認知構造)。同化と調節
「ほいのーと保育漫画」ホームページ

エリクソン(エリク・H・エリクソン)

アメリカの発達心理学者、精神分析家、1902年6月15日生まれ。「アイデンティティ」の概念、心理社旗的発達理論を提唱しました。

段階時期
心理的課題
獲得する心的要素
その頃の行動様式
乳児期生後~18カ月

基本的信頼vs不信
希望
主な関係性は母親になりますが、何もできない赤ちゃんは、泣くことで助けをもとめ、母親を
はじめ周囲の助けが得られれば世界に対する信頼感が得られ、希望を抱くことが出来るようになります。逆に信頼感を得られなかった場合は不信感を持ち続けることになります。
幼児前期18カ月~3歳

自律性vs恥・疑惑
意思
歩いたりしゃべったり出来るようになる時期で、様々なことが一人でできるようになってきます。同時に自分にできるかどうかの不安(疑惑)がでてきたりします。失敗しても過度に叱られるのではなく受け入れられることが分かれば更に頑張ろうという意思(意欲)を得ます。逆だと羞恥心を覚え新しいことにチャレンジする意欲を失くします。
幼児後期
(遊戯期)
3~5歳

積極性vs罪悪感
目的
保育園や幼稚園で元気な時期です。元気ゆえ自分から積極的にいろんな事に取組みますが、過度な躾で厳しく叱ったりすると罪悪感を持ってしまいます。積極性と罪悪感のバランスが取れれば、その中で自分のしたい事への目的意識が育まれます。
学童期5~13歳

勤勉vs劣等感
有能感
学童期で幼稚園や小学校といった集団生活を始める時期です。他人との比較などが生じ、劣等感を感じたりすることもありますが、勤勉さを覚えるとそれにより「自分でも出来る」という有能感を育むことでしょう。小さなことから成功体験を積み上げてあげることが必要だと思います。
青年期
(思春期)
13~20歳
同一性vs同一性拡散
忠誠心
自分は何だろう、どういった人間なんだろうとアイデンティティを確立する時期です。アイデンティティが確立されれば、それに沿った目的に対する忠誠心が生じます。子どもから大人へのターニングポイントと言えます。
成人期20~39歳
親密性vs孤独

多くの人との関係を育む時期で、親密性とともに課題として孤独を感じることもあるでしょう。受け入れてもらえるかどうか、否定されないかなどの葛藤を通じて、本当に信頼できる人との関係を構築して恋人、新たな家族、友人たちとの間に愛を得ます。
壮年期40~64歳
生殖vs自己吸収
世話
次の世代への貢献を行っていく時期です。
老年期65歳以降
自己統合vs絶望
賢さ・英知
自分の人生を振り返り、自己の様々なことを統合的に考える時期で絶望を覚える事も有るかもしれません。ですが、どんな状況でも賢さ・英知といったものがあれば穏やかに自分の人生を振り返ることができるでしょう。

モンテッソーリ(マリア・モンテッソーリ)

イタリアの医師、教育家、1870年8月31日生まれ。
モンテッソーリ教育法の開発者。ローマ大学医学部に女性として初の入学者になる。

モンテッソーリ教育の生徒にはアンネ・フランクジャクリーン・ケネディ・オナシスを始め、世界中に数多くの有名人がいるが、ワシントン・ポスト誌の経営者および、ジャーナリストだったキャサリン・グラハム、 Amazon.comの創立者ジェフ・ベゾスGoogleの共同創立者セルゲイ・ブリンラリー・ペイジwikipedia創設者ジミー・ウェールズ、などもモンテッソーリ・スクール出身者である。

ウィキペディアより

以下は、モンテッソーリ教育綜合研究所のホームページより引用して表にまとめたもの。
詳しくは、ホームページを参照してください。

発達段階年齢特徴
「吸収する精神
(無意識)」の時期
0~3歳0歳から3歳までの前期は「吸収する精神(無意識)」の時期と呼び、人生の中でもっとも吸収力が強く、その後何年かけても達成できないようなことをいとも簡単に獲得し、人間社会に「適応」していく時期です。
子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に7つの教育環境が用意されています。
1.粗大運動の活動
2.微細運動の活動
3.日常生活の練習
4.言語教育
5.感覚教育
6.音楽
7.美術
「意識の芽生え」
の時期
3~6歳3歳から6歳までの後期は、「意識の芽生え」の時期と呼び、前期に無意識に吸収したさまざまな事柄を、意識的に整理、秩序化していく時期です。
子どもの自己教育力を発揮させる環境として主に5つの教育分野が用意されています。
1.日常生活の練習
2.感覚教育
3.言語教育
4.算数教育
5.文化教育
モンテッソーリ教育綜合研究所の「モンテッソーリ教育とは」より

厚生労働省の保育指針より

厚生労働省の保育指針は、保育所が保育計画を立てるときの指針ですが、この記事は0歳から6歳までの発達段階をどのように定義しているかに着目した記事なので、大まかな分け方の表を紹介しています。言わずもがなですが、実際の保育ではこの「保育指針」がもっと細かく、月単位で分けて指示していることを明記させていただきます。

詳しくは、厚生労働省の●●ページ、「保育指針」をご参照ください。

発達段階発達状況と保育の指針
乳児期ア乳児期の発達については、視覚、聴覚などの感覚や、座る、はう、歩くなどの運動機能が著しく発達し、特定の大人との応答的な関わりを通じて、情緒的な絆が形成されるといった特徴がある。これらの発達の特徴を踏まえて、乳児保育は、愛情豊かに、応答的に行われることが特に必要である。
1歳以上
3歳未満児
アこの時期においては、歩き始めから、歩く、走る、跳ぶなどへと、基本的な運動機能が次第に発達し、排泄の自立のための身体的機能も整うようになる。つまむ、めくるなどの指先機能も発達し、食事、衣類の着脱なども、保育士等の援助の下で自分で行うようになる。発声も明瞭になり、語彙も増加し、自分の意思や欲求を言葉で表出できるようになる。このように自分でできることが増えてくる時期であることから、保育士等は、子どもの生活の安定を図りながら、自分でしようとする気持ちを尊重し、温かく見守るとともに、愛情豊かに、応答的に関わることが必要である。
3歳以上児アこの時期においては、運動機能の発達により、基本的な動作が一通りできるようになるとともに、基本的な生活習慣もほぼ自立できるようになる。理解する語彙数が急激に増加し、知的興味や関心も高まってくる。仲間と遊び、仲間の中の一人という自覚が生じ、集団的な遊びや協同的な活動も見られるようになる。これらの発達の特徴を踏まえて、この時期の保育においては、個の成長と集団としての活動の充実が図られるようにしなければならない。
厚生労働省 保育指針より

共通すること

「人間の脳は6歳までに80%が出来上がる」と言われています。等比級数的に成長の伸びが有りますので、3歳までの間が一番急激に成長している時期になります。

この脳の成熟グラフと様々な教育者、研究者が提唱する発達段階を重ね合わせてみました。

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